日本では職場で使用する挨拶ですが、フランスには「お疲れ様です。/お疲れ様でした。」に当てはまる言葉はありません。フランスだけでなく、私の知っている限りでは、欧米諸国には無いと思います。日本では、朝の挨拶は「おはようございます。」と言いますが、仕事中に廊下などですれ違ったり、会議などでその日初めて顔を合わせた人に、まず、「お疲れ様です。」と言うことが多いです。朝からお疲れ様です。とは言いません。「朝から疲れてないけど。」と思われてしまうかもしれないからです。
フランスでは、時間帯によって、“Bonjour (ボンジュール)”“Bonsoir(ボンソワール)”そして、“Ça va?(サヴァ/元気?)” “Vous allez bien?(ヴ ザレ ビヤン?お元気ですか?)”と 私生活と変わらない挨拶をします。挨拶をするときは、頬にキスします。頬へのキスのことをbises(ビズ)といい、地域によって回数が異なります。パリは左右で1回ずつ2回ですが、地域によっては3回または4回のところもあります。家族や友達だけでなく、同僚とも毎朝、毎晩、挨拶をする際に欠かせない儀式のように思えます。初対面では最初は握手だけでしない場合もありますが、会話をして打ち解けると帰り際には頬にキスするようになったりします。とてもフランスらしい習慣で私は好きです。
フランス人が日本に仕事で駐在する場合、bises(ビズ)の習慣はフランス人同士かフランス人文化に慣れた日本人との間にとどまると考えた方が良いと思います。慣れればフレンド リーで良い人間関係を作れる習慣だと思うのですが、純日本人にはちょっと恥ずかしい習慣なのかもしれないです。以前私は日本でフランスの化粧品ブランドに勤めていましたが、フランス本社から来たゲストにはビズをしていましたが、日本在住のフランス人の人達とは特別な時しかしなかったように思います。
本題に戻ります。日本では仕事が終わって帰る時、帰る人に向かって「お疲れ様でした。」と言います。先に帰る人はまだ仕事中の人に、「お疲れ様です。お先に失礼します。」と言います。仕事をしている人をねぎらう気持ちから来ていますので、今日も一日お仕事お疲れ様でした。という意味で使います。その習慣は職場の挨拶としてしっかりと根付いています。
フランスでは“Bonne soirée.(ボンソワレ/こんばんは)À demain.(アドゥマン/また明日)
週末なら、“Bon week-end.(ボンウィークエンド/良い週末を)”と言います。そして、ビスですね。ここでも公私の違いはありません。
一つ注意しておきたいことがあります。「お疲れ様です。」は職場の目上の方にも使用可能ですが、学校の先生に授業の後「お疲れ様でした。」は不適切だとよく言われます。授業やセミナーなどの講師の方へは「ありがとうございました。」と伝える方がシンプルで良いと思います。
また、年配の方や社会的に地位の高いと思われる職業の方が「ご苦労様でした。」という言葉を好んで、または習慣で使うことがありますが、これも上から目線だと思われることもあるので、注意が必要です。
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